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小豆島霊場について

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 小豆島八十八ヶ所霊場は、千有余年の昔、大師が生国の讃岐から京の都へ上京の途次、また帰郷の道すがら、親しくこの島にお立ち寄りに成られ、山野を跋渉され御修行御祈念を積まれた御霊跡であると伝えられます。

 史実によると、貞享三年(1686年)には、この島の八十八カ所霊場としての規模、体制が大いに興隆され、爾来、盛衰を重ねつつ今日に至ります。この大師の霊跡を慕い遍路行願を志す同行は、年間数万人を超え、関西一円、四国、中国、九州、北陸、中京、北海道等、全国各地に及びます。

 この島の霊場は、まさに祈念と修練の道場であります。瀬戸内海最高峰の岳あり、多種多様な野生の生態があり、日本有数の渓谷があります。そこに点在する山岳霊場にくまなく修行する。まさに遍路とはこのことでありましょう。それは消し難い人間の業の深さへの嘆息と、業苦からの脱出を霊場に求めた切ない人間の悲願の表現であると言えます。

 全行程は、およそ150kmにわたります。88の本番霊場に、奥の院を加え94ヶ所が公認霊場となっています。寺院霊場30、山岳霊場10余、堂庵50余。 中でも山岳霊場は小豆島の大きな特色で、その深玄、清寂、荘厳の佇まいは、すぐれた風光に恵まれ、まさに悟境に適うものがあります。

 また、この島は、瀬戸内海国立公園として、比い稀な天与の自然美に恵まれ、珠玉ともいえる風光に富み、霊場は全てこの美しい自然の中に点在します。幽邃荘厳な山峡に、白砂青松の海辺に、ひなびた島の野山に、行くところ霊場に至らざることはありません。この清冽な自然と、尊い霊跡の織りなす霊光は苦悩と混迷に苦悶し、人生の方途を模索する現代人の修練と求道の道場であり、静穏な安息と平安の浄土であり、祈念祈祷の霊験はあらたかであります。

碁石山から見える夕陽