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2018-11-05

仏さまのわかりやすい御利益とは

今夏はとても暑く、週末ごとに台風が来たので、歩き遍路にしても、車遍路にしても、船が止まったり、飛行機が飛ばなかったり、で小豆島に来る参拝者は激減しました。

 

なので、たまに来る観光ついでの来訪者の印象しかないのですが、来られる人来られる人、とても似ていてビックリしました。

 

「朱印はできますか?」

 

「ここの仏様は何に効果がありますか?」

 

この2つの質問が鉄板で、これだけ聞いて用を済ませばサッと退出です。

 

前者は朱印ブームのせいでしょう。何はなくともお寺に行くと手書きの朱印をしてもらえる、とA5サイズくらいのMy朱印帳をカバンに忍ばせている人はとても大勢いらっしゃいました。
後者については、

 

「ここは浪切不動明王様がご本尊なので、海上安全に御利益がありますよ」

 

と答えていました。

 

そうすると、ふーん、そうなんだ、とわかった風な感じで、そこで話は終わり、皆さん出て行かれます。
それに違和感が拭えなかったので、途中から答え方を変えました。

 

「ここの仏様は浪切不動明王さまなので、海上安全の御利益があるのですが・・・」

 

「仏様は人間の尺度で、これが得意でこれが不得手というのを計れるような存在ではありません。日本人はスペシャリストが好きなので、これに特化して一点突破しているようなのが好きだから、海上安全に関しては誰にも負けない!みたいな人が好きなのはわかります。事実オールマイティで、仏のヒエラルキーの頂点に立つ大日如来さまの人気は乏しく、ご本尊として奉られているお寺もそんなに多くない。薬が付くから病気に強いであろう薬師如来、子授けの子安観音、水子の水子地蔵、シンプルな即効性を求めがち。でも、海上安全オタクだから、恋愛成就は苦手とか安産や就職は専門外で他行っとくれ。みたいな人間的なモノを想像するのは間違いです。そんな得手不得手がはっきりしている人間っぽい御方なら、どこかの人間にお願いしたらいい。浪切不動明王は、元来不動明王さまでもあるので、降りかかる厄災や願いごとの障壁となるものに睨みを利かせ、それらから祈願者を護ってくれるという存在でもあり、どんな願いごとを祈願しても、差し障りはありません。ついでに言うと、神仏はさまざまなアプローチで、貴方の願いを人間の努力や注意を超越した形で、見護ってくれるので、ここの仏様にお願いしたから、あっちのお寺では祈祷しない方がいいよね、とか、神様と喧嘩する、なんてのは無いです※。そんな人間味溢れる御方なら仏様とは呼ばれませんので心配しなくていいですよ」

 

とか、なんとか。

 

この坊主話長いなー、と途中から「いや、そういうこと聞きたかったんじゃなくて、薬の効用を知りたいだけ」みたいな怪訝な顔をされる人もいましたが、安易にわかった風になって欲しくないな、という想いがあります。

 

私は坊主なので、自分の宗教観とか、お遍路に対する心構えとか、お寺を参拝するときのアレコレについて、自分なりの答えを持っていますが、それは常に定まったものではなく、坊主になる前、修行中、坊主になった後、その後も刻々と変化しています。
常に考えて、こうかな、こうじゃないか、それが経験によって上書きされ、なかなか着地しません。
ですが、「これが答え」と結論づけて以後思考停止状態になるのが1番良くないと、修業時代に嫌と言うほど言われました。

 

「まだ、そんなもんか」

 

すごく上から目線で師僧に言われたのが、今は仏様の尊顔をのぞき込むと言われます。

 

そんな答えの出ない、仏とは、利益とは、という問いを、短絡的な一言で結論づけて欲しくない、ということです。

 

「碁石山の坊主が「海上安全」って言ってたから俺らには関係ないわ」

 

で、情報をストップするのはもったいない。
たとえ私がそう言ったとしても、いや、そんな安易なもんじゃないのではないか、と疑って浪切不動明王さまを探求して欲しいと思います。

その時、参拝した自分の調子や、持ち時間、天候によって、見え方・感じ方はいくらでも変わります。

見切ってしまえば、自分にとって意味ある場所かどうかも気づくことはありません。

 

「この御守がいいね」とテレビが言ったからあの寺はパワースポット

 

行ったことないけど、やたら大混雑しているお寺に違和感を覚える今日この頃です。

碁石山から見える海。いつも凪いで道ができています。

※ 宗教の教義の中には、他の神を信仰するな、とか浮気をするな、と厳しい戒律を掲げて、排他的なものはたくさんあるのは事実です。ですが、信じる者以外も救われます、が仏教の教えなので、そんな了見の狭い教えだと、ついて行けないなと思います。
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