里山の景観
常光寺から碁石山に登る途中に竹林がいくつかある。
所有者がハッキリしていて、綺麗に整備されている竹林はとても綺麗なものだが、ほったらかしで竹雑木林と化しているところもある。
そこで、竹を切っている幾人かの集団を発見したので、車を下りて
「誰かの許可があって切ってますか?」
と問うてみた。
そこは乱獲(乱切)というか、目線の高さの切りやすいところで、切りっぱなしの竹が放置され、要らない枝はそのままそこに捨て置かれていることが多かった場所なので、そういう想いもあって、顔の表情や語気が鋭くなってしまった。
「そんな恐い顔せんといてくれ。うちらはもう何十年もここで竹をもらっている」
聞けば、地域のとんどの準備で、竹を切りに来ていた地元の人で、よく見れば知っている顔もちらほら。切った枝も持ち帰って、根元から綺麗に刈ってくれていた。
ただ、竹に詳しいおっちゃんが言うには
「見てみ。竹が花をつけた後があるから、この竹林はもうすぐ枯れるぞ。」
と、竹の花が咲いた後を見せてくれた。
確かに、見渡してみると、確かに葉をつけた竹が少ない。元気のない植物はツタがからまるが、竹にしては珍しく、ツタが巻き付いたものも多い。
竹は地下茎なので、およそ60〜120年周期で花を咲かすらしい。そして「無性生殖だった竹林が 最期に開花することでオシベとメシベが交配をして実を結び種となって新しい竹林を作る準備をする」そうな。
碁石山に至る車道は、町道ではなく林道で、土地の所有者も短冊状に別れているため、責任を持って管理する人がいない。町の農林水産課の人に聞けば、林道全体に対する年間予算は一本あたり、一万円も無いそうで、受益者負担の名の下に、その先にある碁石山と洞雲山が個々で維持管理しないといけない。
なので、整備というほどまでも行かないが、道に出てきたり、折れて寄っかかってきたものは切って撤去している。独りで身の丈5倍ほどの竹を切っては運んで・・・の作業はかなり大変なので、みなさま、誰のものともわからない山林でも景観の保全に努めて下さい。それが小豆島に限らず、地域を守り、生活を維持することにつながります。
小豆島の場合は、遍路道が人間と獣の領域を隔てる役割もあると思うので、遍路道を整備することは、最近頓に増えてきたイノシシ対策でもあり、お遍路さんのためだけではないなぁと思いました。